America
かつてアラブ人が住んでいたパレスチナというところに、ユダヤ人がイスラエルという国をつくった。そのため、多くのアラブ人が住むところを失った。イスラエルはそこに国をつくる権利があると言って譲らない。追い出されたアラブ人はもちろん、周辺のアラブ…
「現代アメリカ」には彼らをおのずから一つに結びつける要素があった。それは、消費文化、すなわち「アメリカ的生活様式」である。資本家も中産階級も労働者も、移民も非白人も女性も、消費文化を受け容れ、「アメリカ的生活様式」を追求した。「自由」と「…
ブッシュの犯した誤りの数々はもはや明らかだから列記しないが、それでも振り返ってみる価値ありと思うのは次の一事ではなかろうか。 テロは戦争であると規定したこと、がそれである。戦争ではなく、犯罪とすべきであった。なぜなら、戦争だと規定すると、敵…
注意すべきは、政教分離について、日米両国の理解に違いがある点である。日本における政教分離についての一般的な理解は、宗教と政治の分離(separation of religion and politics)である。しかし、アメリカにおける政教分離は、宗教と政治の分離ではなく、政…
ヨーロッパにおいては、土地は希少な価値として身分制の根拠になったのに対し、アメリカ、とくにその西部農民社会においては、当初より土地所有は広範な社会層に行き渡り、逆に民主制の根拠になった。 『アメリカの歴史―テーマで読む多文化社会の夢と現実』 …
今日のアメリカ政治思想の萌芽は、ヨーロッパ起源の政治思想をいかに新大陸の環境に適用し、新しい政治秩序を構築するかという現実の模索の中から生まれたといってよい。アメリカの政治思想は当初から、書斎における哲学的思索からというより、現実的な政治…
今日、アジア系は、アメリカの総人口にしめる割合がわずか3.6%であるものの、高所得・高学歴の「モデル・マイノリティ」として、多民族国家アメリカで確固たる地歩を占めている。 『アメリカの歴史―テーマで読む多文化社会の夢と現実』 〜第8章 太平洋を越え…
新共和国アメリカの人々は、共和国は自立した対等な市民で構成されるべきだと考え、ヨーロッパの階級社会の実害を避けようとした。しかしながら、19世紀の資本主義発展は、「階級のない社会」という理念を切り崩し、他人に雇われて働かなければ飢えてしまう…
アメリカはさまざまな国や地域から人が集まってできた国だ。そのような移民の国では、1人ひとりが自分の出身国の歴史や文化を持ち出したら、その瞬間、議論はストップしてしまう。あまりに多様だからであり、その多様性を尊重していたら、しばしば理論化は…
文化や民族を基盤にしていないがゆえに、彼らアメリカ人は「自分たちの唱える理念こそ、偏狭な民族性や古い歴史のしがらみを越えたものであり、普遍的、世界的な価値を持っている」と信じて止まないからである。アメリカはなぜグローバル資本主義を強力に推…
アメリカのような非タテ社会の場合、謙虚な態度は誤解されやすい。「私は一人では何もできませんが・・・」と前置きすれば、それだけで駄目になる。ヒエラルキーがはっきりしない社会構造では、相手を「社長」とか「部長」と呼ばないで、ミスターあるいはフ…
たとえば中国系は濃厚な文化を共有している。だけでなく家族主義で寄り添っている。ゲイの場合、家族主義はどうでもよいが、文化という"他に通用しがたいもの"を仲間だけで共有することによって暮らしの中での安らぎをえたい。広大な文明空間に疲れてきた、…
くりかえしのべてきたように、多くの国々にあっては古代以来の文化が累積し、近代になってやっとその上に法が載るようになった。法によって日本やフランスや韓国やデンマークなどをできたのではなく、もともとそこに人間の組織があって、近代に入ったがため…
大きな立場から日本という国の文化の特異さを見ようとしなかった。「彼らのすべての虚飾は、自分の共和主義の嗜好と相容れないものだ」と、みずからの文明意識をのみ基準とした。 こういうハリスのやり方は、二十世紀後半に入ってアメリカの時代がきてもつづ…
それにしても、アメリカにおける多民族性がなお新鮮で、建国二百年以上をへた国とはとても思えないのである。この社会の若々しさは、この多様さと、さまざまな要因による移り変わりのはげしさにあるのではあるまいか。 この国の人々の行進好きは世界に知られ…