経団連に阿らない産業再生機構

そうした中で、経団連の事務方が作成した十人ほどの名前が並んだリストが、谷垣のもとに届けられた。そのリストを眺めた準備室の複数の幹部たちは、さっと顔を曇らせた。
「これは奥田さんが自分で選んだとは思えないな。財界の人たちの処遇先として再生機構を考えているにちがいない」・・・<中略>
こうして再生機構は、経団連からの副社長起用の話を丁重に断った。すると、顔に二重に泥を塗られた格好になった経団連は、再生機構への怒りを露わにした。斉藤・高木体制が決定した報道を受けながら、奥田会長の談話の発表を見送ったのである。
政府の重要人事について、経団連が沈黙を守るのは異例中の異例だ。こうして再生機構と経団連の関係は、一気に冷え込んだ。
『企業復活』 〜第1章 世界初の試み 「日の丸ファンド」の誕生 P.55〜75〜