2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

分散性が全てを解決するというのは迷信

分散性が集合的な知恵に結びつく状況を正しく理解することはとても大事だ。最近、分散性がありとあらゆる問題に対する理想的なソリューションだという、迷信に近い根拠のない分散性崇拝が見られるようになったからだ。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜…

個人の知識はローカルであり続けることが必要

いちばん望ましいのは個人が専門性を通してローカルな知識を手に入れて、システム全体として得られる情報の総量を増やしながら、個人が持つローカルな知識と私的情報を集約して集団全体に組み込めるようになっている状態だ。・・・あらゆる集団は二つの命題の間…

情報カスケードの欠点

市場や投票制度のように、みんなが持っている私的情報を集約するのではなく、情報不足の状態で次から次へと判断が積み重なるというのが情報カスケードである。 情報カスケードが抱える根本的な問題は、ある時点を過ぎると自分が持っている私的情報に関心を払…

情報は一人の人間が完全に掌握しているわけではない

情報は一人の人間が完全に掌握しているものではなく、多くの人がさまざまな情報のカケラを共有しているのが実状だ。だから、自分が持っている私的情報だけに基づいて判断を下すことは、不完全な情報に基づいて判断を下すのと同じだ。 『「みんなの意見」は案…

現状維持を正当化する説明を考えるのは簡単

成功する確証がない限り、現状維持を正当化する説明を考えるほうが、現状とは違う可能性を想像するより簡単だ。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜第3章 P.66〜

全員が集団に追随すると集団は賢くなくなる

集団が物事をいちばんよくわかっているとしたら、集団のやることをなぞるのは合理的な戦略だと言える。問題は、みんながこの戦略をとると、集団は賢くなくなってしまい、集団に従う戦略自体が合理的でなくなってしまうことだ。 『「みんなの意見」は案外正し…

外部の意見から隔絶されると集団は間違えやすくなる

均質な集団は多様な集団よりもはるかにまとまっている。集団のまとまりが強くなるとメンバーの集団への依存度が増し、外部の意見から隔絶されてしまう。その結果、集団の意見は正しいに違いないと思い込むようになる。自分たちが間違えることは絶対にないと…

多様な意見をとりいれることが重要

専門家がどんなに情報を豊富に持っていて手法が洗練されていても、それ以外の人の多様な意見も合わせて考えないと、専門家のアドバイスや予想は生かしきれないということだ。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜第2章 P.53〜

大量の敗者を輩出できる能力が成功要因

アメリカの自動車産業の揺籃期に見られた現象は、決して珍しくはない。鉄道やテレビ受像機、パソコン、最近ではインターネットなど、ほかの新興産業の歴史にも同じようなパターンが見られる。どんな産業でも、初期にはデザインや技術が大きく異なる多種多様…

「集団の知恵」の凄さは情報量の多さ

「集団の知恵」という言葉に実質の伴った価値を与え、私たちを驚かせてやまないのは、みんなの意見に含まれている情報量の多さだ。ゴートンの実験やチャレンジャーの事故などのケースでは、集団が共有する集合的な「頭」の中に世界のほぼ完璧な絵が描かれて…

集団の知力はその中の最も優秀な個人の知力より優れる

正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮するし、それは往々にして集団の中でいちばん優秀な個人の知力よりも優れている。優れた集団であるためには特別に優秀な個人がリーダーである必要はない。集団のメンバーの大半があまりものを知らなくても…

ごくごく少数の論文だけが多くの人に読まれる

残念ながら、いま述べた科学のコミュニティが真実を発見するプロセスは美化されたバージョンであり、実際には根本的な欠陥を抱えている。それは、ほとんどの科学的研究が誰にもきづかれないということだ。調査という調査が、ほとんどの科学論文は誰にも読ま…

科学者は集合的な知恵への暗黙の信頼を持つ

選ばれた小数のエリート科学者に新しいアイディアの妥当性を判断させるのではなく、科学者は生き残る価値があるものは絶対に生き残れると信じて、自分のアイディアをこの世に放り込む。 このプロセスは市場や民主制とは大きく異なる。投票が行われるわけでも…

自分の発想が科学的知識体系に組み入れられる快感

科学的研究は名声の追及だと言うと、科学者という人種は名声がほしいだけのイヤなやつのように聞こえる(もちろん、中にはそういう人もいるだろうが)。だが、科学的名声は一般的な知名度や流行とは違って、本当に新しくて興味深い発見に対する正当な報酬だ。…

知識は消費されればされるほど価値が増す

オルデンバーグは知識というものが持つ独特の特性を深く理解していた。それはほかの資源と違って、消費された枯渇してしまうような類のものではなく、価値を失うことなく広く行き渡らせることができる。むしろ知識は広まれば広まるほど、その価値が増す可能…

複雑な問題を解決するには複数の視点が必要

社会科学者のエティエンヌ・ウェンガーは「今日の複雑な問題を解決するには、複数の視点が必要だ。レオナルド・ダビンチの時代はもう終わったのだ」と言う。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜第8章 P.177〜

SARS研究におけるWisdom of Crowds

このプロジェクトに厳密な意味でのリーダーは存在しなかったが、成功を収めた。WHOはネットワークづくりの音頭を取ったが、研究所ごとに何をなすべきか、どのサンプルやウイルスの研究を進めるべきか、情報交換をどのようにすべきか、といったことを指示する…

個人としての合理性と集団としての合理性は必ずしも一致しない

リチャード・グラッソに対して世論が蜂起を起こしたケースのように、個人としては合理的ではない行動から生まれる集合的に合理的な結果が、強調の問題を解決する。他方、強調の問題の解決に失敗すると、正反対の事態が生じる。テレビ業界の主要なプレイヤー…

集団が直面する問題には認知、調整、協調の三種類があって、それぞれの問題ごとに集団の知恵は異なる顔を見せながら問題を解決に導くべきだと述べた。調整と協調の問題に対する集合的なソリューションは、認知の問題に対するソリューションと異なる。前者の…

市場と民主主義の違い

企業なら「企業の利益」、つまり企業の将来的なフリーキャッシュフローの割引価値を合法的に増やすという単純かつ一貫した定義ができる。社員全員が企業の利益に関心があるわけでもないし、企業の利益に真っ向から背反する行動をとる役員もいる。しかし、大…

全員が模倣をすると既存の知恵に新しい価値が加わらない

全員が集団の知恵にただ乗りするようになると、既存の集団の知恵に新しく何かをつけ加える人が誰もいなくなる。投資家同士がお互いをそっくり模倣するようになると、集団の賢さは減じてしまう。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜第11章 P.260〜

市場は全く逆の考えを持つ人同士の取引により成立する

自分が売った株を買う人は、その株に関して自分とは異なる将来展望を抱いている。自分はその株の価格は下がると考え、買った人は逆に上がると考えている。どちらが正しいにせよ、重要なのは異なる考えを持つ人同士のやり取りをとおしてのみ、市場は資本をう…

分散化は構成員の目的意識の統一が必要

従業員が念頭に置くべきは、自分たちの所属部門ではなく、会社全体のために働いているという事実だ。今日のアメリカの諜報機関を見てもわかるように、分散化は全員が同じチームとして働いていると思える状況でなければ、機能しない。 『「みんなの意見」は案…

集合的な意思決定に合計形成は必要ない

集合的な意思決定は合意形成といっしょくたに考えられることが多いが、集団の知恵を活用するうえで合意は本来的には必要ない。合意形成を主眼に置くと、誰かを刺激することもない代わりに誰の感情も害さないような、どうでもいい最大公約数的なソリューショ…

「みんなの意見」は案外正しい

語らずともわかりあえる仲間うちに閉じこまらない

「ネットの世界に住む」ように活きている若い世代は、ネットのネガティヴな側面ばかりを語る日本の大人たちに絶望感を抱いている。しかし、語らずともわかり合える仲間うちに閉じこもっていては、達成できることも限られる。 「ネットの意義を漠然とは理解し…

環境変化の中で精一杯努力すれば何とかなる

でも環境変化の中でゴチャゴチャと精一杯努力していると何とかなるのも事実だった。「捨てる神あれば拾う神あり」で、いろいろな新しい発見や予期せぬ出会いが私に新しい機会をもたらしたからだ。 『ウェブ進化論』 〜第七章 P.238〜

新しいキャリア・パラダイム

グローバルに活躍する日本人たちの経験に共通する「転職によるいい意味での人生の急展開」「新しい場での新しい出会いがもたらす全く新しいオポチュニティの到来」「組織に依存しない個人を単位としたネットワークがフル稼働することの強靭さ」「いつ失職す…

ゲイツ世代とページ/ブリン世代の違い

十代で「コンピュータの私有」に感動したゲイツ世代は、インターネットの「こちら側」への拘りを今も捨てきれずにいる。しかし、十代で「パソコンの向こうの無限の世界」に感動したページ/ブリンの世代は、インターネットの「あちら側」に全く新しい創造物を…

ウェブ進化論 第六章 第七章 あとがき