Wisdom of Crowds
分散性が集合的な知恵に結びつく状況を正しく理解することはとても大事だ。最近、分散性がありとあらゆる問題に対する理想的なソリューションだという、迷信に近い根拠のない分散性崇拝が見られるようになったからだ。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜…
いちばん望ましいのは個人が専門性を通してローカルな知識を手に入れて、システム全体として得られる情報の総量を増やしながら、個人が持つローカルな知識と私的情報を集約して集団全体に組み込めるようになっている状態だ。・・・あらゆる集団は二つの命題の間…
市場や投票制度のように、みんなが持っている私的情報を集約するのではなく、情報不足の状態で次から次へと判断が積み重なるというのが情報カスケードである。 情報カスケードが抱える根本的な問題は、ある時点を過ぎると自分が持っている私的情報に関心を払…
情報は一人の人間が完全に掌握しているものではなく、多くの人がさまざまな情報のカケラを共有しているのが実状だ。だから、自分が持っている私的情報だけに基づいて判断を下すことは、不完全な情報に基づいて判断を下すのと同じだ。 『「みんなの意見」は案…
集団が物事をいちばんよくわかっているとしたら、集団のやることをなぞるのは合理的な戦略だと言える。問題は、みんながこの戦略をとると、集団は賢くなくなってしまい、集団に従う戦略自体が合理的でなくなってしまうことだ。 『「みんなの意見」は案外正し…
均質な集団は多様な集団よりもはるかにまとまっている。集団のまとまりが強くなるとメンバーの集団への依存度が増し、外部の意見から隔絶されてしまう。その結果、集団の意見は正しいに違いないと思い込むようになる。自分たちが間違えることは絶対にないと…
専門家がどんなに情報を豊富に持っていて手法が洗練されていても、それ以外の人の多様な意見も合わせて考えないと、専門家のアドバイスや予想は生かしきれないということだ。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜第2章 P.53〜
「集団の知恵」という言葉に実質の伴った価値を与え、私たちを驚かせてやまないのは、みんなの意見に含まれている情報量の多さだ。ゴートンの実験やチャレンジャーの事故などのケースでは、集団が共有する集合的な「頭」の中に世界のほぼ完璧な絵が描かれて…
正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮するし、それは往々にして集団の中でいちばん優秀な個人の知力よりも優れている。優れた集団であるためには特別に優秀な個人がリーダーである必要はない。集団のメンバーの大半があまりものを知らなくても…
残念ながら、いま述べた科学のコミュニティが真実を発見するプロセスは美化されたバージョンであり、実際には根本的な欠陥を抱えている。それは、ほとんどの科学的研究が誰にもきづかれないということだ。調査という調査が、ほとんどの科学論文は誰にも読ま…
選ばれた小数のエリート科学者に新しいアイディアの妥当性を判断させるのではなく、科学者は生き残る価値があるものは絶対に生き残れると信じて、自分のアイディアをこの世に放り込む。 このプロセスは市場や民主制とは大きく異なる。投票が行われるわけでも…
科学的研究は名声の追及だと言うと、科学者という人種は名声がほしいだけのイヤなやつのように聞こえる(もちろん、中にはそういう人もいるだろうが)。だが、科学的名声は一般的な知名度や流行とは違って、本当に新しくて興味深い発見に対する正当な報酬だ。…
このプロジェクトに厳密な意味でのリーダーは存在しなかったが、成功を収めた。WHOはネットワークづくりの音頭を取ったが、研究所ごとに何をなすべきか、どのサンプルやウイルスの研究を進めるべきか、情報交換をどのようにすべきか、といったことを指示する…
リチャード・グラッソに対して世論が蜂起を起こしたケースのように、個人としては合理的ではない行動から生まれる集合的に合理的な結果が、強調の問題を解決する。他方、強調の問題の解決に失敗すると、正反対の事態が生じる。テレビ業界の主要なプレイヤー…
集団が直面する問題には認知、調整、協調の三種類があって、それぞれの問題ごとに集団の知恵は異なる顔を見せながら問題を解決に導くべきだと述べた。調整と協調の問題に対する集合的なソリューションは、認知の問題に対するソリューションと異なる。前者の…
企業なら「企業の利益」、つまり企業の将来的なフリーキャッシュフローの割引価値を合法的に増やすという単純かつ一貫した定義ができる。社員全員が企業の利益に関心があるわけでもないし、企業の利益に真っ向から背反する行動をとる役員もいる。しかし、大…
全員が集団の知恵にただ乗りするようになると、既存の集団の知恵に新しく何かをつけ加える人が誰もいなくなる。投資家同士がお互いをそっくり模倣するようになると、集団の賢さは減じてしまう。 『「みんなの意見」は案外正しい』 〜第11章 P.260〜
自分が売った株を買う人は、その株に関して自分とは異なる将来展望を抱いている。自分はその株の価格は下がると考え、買った人は逆に上がると考えている。どちらが正しいにせよ、重要なのは異なる考えを持つ人同士のやり取りをとおしてのみ、市場は資本をう…
従業員が念頭に置くべきは、自分たちの所属部門ではなく、会社全体のために働いているという事実だ。今日のアメリカの諜報機関を見てもわかるように、分散化は全員が同じチームとして働いていると思える状況でなければ、機能しない。 『「みんなの意見」は案…
集合的な意思決定は合意形成といっしょくたに考えられることが多いが、集団の知恵を活用するうえで合意は本来的には必要ない。合意形成を主眼に置くと、誰かを刺激することもない代わりに誰の感情も害さないような、どうでもいい最大公約数的なソリューショ…
しかし本来とても私的な営みである知的生産活動は、常に「全体」という場への貢献を意識して行われるわけではない。だから「全体」をあまり意識せずに行う「個」の知的生産活動の成果を集積し、そこから自動的に「全体」として価値を創出することができれば…
If it were merely an amplifier, blogging would be uninteresting. But like Wikipedia, blogging harnesses collective intelligence as a kind of filter. What James Suriowecki calls "the wisdom of crowds" comes into play, and much as PageRank p…
読者の集団は、メディアのプロたちよりも多くのことを知っている。当たり前だ。彼らは大勢、そしてジャーナリストはしばしば、たった一人なのだから。私たちは彼らが持っている知識を理解し、いい意味でそれを利用していく必要がある。さもなくば、かつての…
未来のニュースのためのテクノロジーの本質は、この創発的な動き、すなわり「会話」を後押しすることにある。 ・・・創発とは、ある集合体が個体の総計よりも賢い、という場合に起こる・・・・・・集合体の相互作用の中から、どういう成り行きか、より高位の…
そして、集団としてのコミュニティーには、個々のジャーナリストの能力を確実に上回る情報力があるということを理解するようになってきた。 『ブログ 世界を変える個人メディア』 〜P.11〜
一日わずか数分で数日間を費やすだけの販売部員たちの予測が、販売予測を専門とするHP本社の販売部にいるアナリストよりも正確なのはなぜだろう?簡単に言えば、本部の立案者は各地にいる販売部員が集団として持っている情報をすべて持っているわけではない…