Net Economy Theory

不特定多数無限大の良質な部分とテクノロジーを組合せ

日本だけでも数千万、世界全体で見れば数億から一〇億以上という不特定多数の膨大さ、それゆえの「数の論理」、それらを集約するためのテクノロジーの進化の加速やコスト低下、そういう諸々の要因を冷静に見つめ、「不特定多数の集約」という新しい「力の芽…

市場メカニズムと予測市場の考え方

もともと市場メカニズムには、不確実な将来事象の期待値を現時点の価格に置き換える機能が内包されている。事実、市場の動向はものごとの将来をよく言い当てる。ならば、ありとあらゆる未来の重要テーマについてネット上で人口市場を作ればいいじゃないか。…

ロングテールとWEB 2.0は表裏一体

ロングテールとWEB 2.0は表裏一体の関係にある。キーワードは不特定多数無限大の自由な参加である。それがネット上でのみ、ほぼゼロコストで実現される。ロングテール現象の革新は、「参加自由のオープンさと自然淘汰の仕組みをロングテール部分に組み込むと…

ロングテールと未知の可能性

第二章で詳述したグーグルの売上高の異常なスピードでの成長は、「参加自由のオープンさと自然淘汰の仕組みをロングテール部分に組み込むと、未知の可能性が大きく顕在化し、しかもそこが成長していく」という全く新しい事実を、私たちに突きつけたのだ。 『…

インターネットの本質とグーグルの目指す富の再分配システム

リアル世界における「富の再分配」は、巨大組織を頂点とした階層構造によって行われるのが基本であるが、その分配が末端まであまねく行き渡らないところに限界がある。しかし、いかに対象が膨大であれ、インターネットにつながってさえいれば、その対象は同…

オープンソースの本質

オープンソースの本質とは、「何か素晴らしい知的資産の種がネット上に無償で公開されると、世界中の知的リソースがその種の周囲に自発的に結び付くことがある」ということと「モチベーションの高い優秀な才能が自発的に結びついた状態では、司令塔にあたる…

ITインフラではなく、Iインフラ

しかし実際に二一世紀初頭に入ってみて明らかになったのは、「大規模な構築ステージ」で作られるのは、実はITインフラではなく、I(情報)インフラで、それによって「情報そのものに関する革命的変化」が起ころうとしているということである。Iインフラの本質…

インターネットの可能性の本質

放っておけば消えて失われていってしまうはずの価値、つまりわずかな金やわずかな時間の断片といった無に近いものを、無限大に限りなく近い対象から、ゼロに限りなく近いコストで集積できたら何が起こるのか。ここに、インターネットの可能性の本質がある。 …

ファン層を築き、その後で課金する

突き詰めれば、デジタルコンテンツに関して一番重要なことは、常に露出の機会を得て知ってもらい、そしてその後でファンをお金につなげることである。これこそ、大半のメジャーレーベルの戦術の中でいまだに手が届いていないように見える重要な課題である。…

インターネットの自己修復機能

私たちは、確かにネットのマイナス面を見た。しかし同時に、この問題を発見、分析、修正していく上で、コミュニティーが果たしてくれた役割を考えると、そこにはプラス面も見て取れた。ごろつきプログラマーの騒動の後、ワインバーガーが言った通りだ。「イ…

荒らしはコストの一部

スラッシュドットのチームは、ユーザーベースのコメントの仕分けシステムに加え、サイトを動かしているソフトウェアを、常に調整しておく必要があった。荒らしや壊し屋たちが、このサイトを無意味で、不愉快な投稿で目詰まりさせ、読者の体験を台無しにしよ…

ムーア/メトカーフ/リードの法則

ムーアの法則とは、シリコンチップ上のトランジスタの集積度が十八ヶ月から二四ヶ月ごとに倍増するというものだ。 ・・・次にメトカーフの法則を考えてみよう。・・・要約すれば、メトカーフの法則とは、通信ネットワークの価値は、ノード(結節点)、すなわち…

割れた窓(ブロークン・ウィンドウ)」シンドローム

「書いた記事をそのまま残す唯一の方法は、正反対の立場の人間でも納得するようなものを書く、ということだな」。ウィキペディアの創設者、ジミー・ウェールズは、私にそう説明してくれた。都市計画や犯罪学の分野では、「割れた窓(ブロークン・ウィンドウ)…

創発

未来のニュースのためのテクノロジーの本質は、この創発的な動き、すなわり「会話」を後押しすることにある。 ・・・創発とは、ある集合体が個体の総計よりも賢い、という場合に起こる・・・・・・集合体の相互作用の中から、どういう成り行きか、より高位の…

知識労働者に大事なこと

ITはたえず情報伝達コストを下げ、企業にとってスケールメリットを犠牲にせずに分散化することを可能にする。そして、知識労働の重要性が増したために、モチベーションや創造性や柔軟性はこれまでよりさらに重要になっているのだ。 『フューチャー・オブ・ワ…

集中化によって失われること

私たちの遠い祖先が、みずからの自由のいくらかをあきらめる代わりに、大きいことによって得られる政治面での利益を選んだように、私たちの祖父母の多くが、ビジネス面で同様の選択をおこなった。彼らはやはり自由と、自営農業やささやかな商売の気楽さを手…

情報伝達コスト低減が可能にすること

私たちの祖先が突然に方向転換をして、分散化を選んだ理由は何か、という疑問への答えは次のとおりである。印刷機などの新しいテクノロジーによって、情報伝達コストが充分に下がり、人々がほしいと思うふたつのものの双方を手離さずにすむようになったから…

集中化の弊害

またもうひとつの―漠然とはしているが―集中化された組織が払う代償は、個人の自主性の喪失である。狩猟採集民の群れから階層制農耕社会への移行は、リーダーを除いたすべての人に、自分たちの自由の一部を―ときにはそのほとんどを―犠牲にすることを求めたの…

分散的意思決定に要するコスト

単純に、そうした大きな集団において高度に分散化された意思決定をするには、コストがかかりすぎるのである。情報を伝えるのに直接会って話す手段しかないときに、大人数で平等主義にもとづく意思決定をするのは時間がかかりすぎる。 『フューチャー・オブ・…

分散化の促進

・・・、情報伝達コストが低下しつづけることは、分散化の機会がますます増えることを意味する。情報伝達の経済性と意思決定における根本的変化は、これからの長い年月、経済や、企業という企業、産業という産業に影響を与えつづけるのである。 『フューチャ…

意思決定の場所を決める要素

だが、ビジネスにおける意思決定がなされる場所を決める要素はもうひとつあり、それはほとんどいたるところで劇的に変化しているのである。・・・この要素とは何だろうか? それは、である。 『フューチャー・オブ・ワーク』 〜選択の時〜 P.27

分散化された組織のもたらすもの

一方、二十一世紀の分散化された組織は前任者とは違って、大きいことと小さいこととの両方の利点を享受できる。個人に大いなる柔軟性と自由を与えると同時に、歴史上かつてないほどの規模で世界中の人と活動を統合できるのだ。この方向に働く経済とテクノロ…

非経済目標の達成

インターネットのような新しい情報伝達テクノロジーがこれまでになくそれを実現可能にしていることを、認識している人はほとんどいない。だが、情報共有がとても簡単になったことで、自分と価値観を共有する人や企業を見つけやすくなり、他人や企業が何をし…

価値観によって統率されるゆるやかな階層制

したがって、ゆるやかな階層制を機能させるためには、プロジェクトを遂行するのに必要な人々の価値観―それがどんなものであれ―に訴える必要がある。・・・意思決定を委譲し、人々の価値観を保証することにより、ゆるやかな階層制は、伝統的企業よりもはるか…

ネットビジネスの特性

つまり、音楽であれ、映画であれ、ビジネス情報であれ、「コピーにかかるコストが限りなくゼロに近い」という本質的特性を有する「デジタル情報」に対して、「1個いくら」と値段を付けるビジネスは「ネット時代にはもう成立不可能」という証明がなされてしま…