気質や個性は訓練では変えられないので、重視し、明確に理解する
自らの成長のためには、自らに適した組織において、自らに適した仕事につかなければならない。そこで問題になるのは、「自らの得るべき所はどこか」ということである。この問いに答えを出すには、自らがベストを尽くせるのはいかなる環境かを知らなければならない。
学校を出たばかりでは、自らのことはほとんど何も分からない。大きな組織のほうが仕事ができるか、小さな組織のほうができるかはわからない。人と一緒に仕事をするほうがよいか、一人のほうがよいのか、不安定な状況のほうがよいのか、逆なのか。時間の重圧があったほうがよいのか、ないほうがよいか。迅速に決定するほうか、しばらく寝かせないとだめなほうか。
最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年が必要である。
われわれは気質や個性を軽んじがちである。だが、気質や個性は、訓練によって容易に変えられるものではないだけに、重視し、明確に理解することが必要である。
『プロフェッショナルの条件』 〜何によって憶えられたいか P.229〜