内発的な動機と結びつかない「べき論」は「できない人」の抵抗の壁に弾き返される

ある優秀なプランナーが、「クライアントに提出する企画書は、必ず起承転結のプロットを、テーマに即して明確に構築した上で作成する」という勝利の方程式を持っているとします。
どこかで学んだにせよ、これが人よりもスムーズにできる人は、論理気的な思考にもとづいて表現していくことが、もともと好きなのです。動機づけられているからこそ、望ましい行動がスムーズに生まれてきます。
これを自分の思考をまとめるのが得意ではない人、なんでも抽象的にイメージを膨らませる人に提示したら、相手の内面に摩擦を起こしてしまいます。自分の中にある内発的な動機づけの要素と、「できる人」にもらった"べき論"が衝突するのです。
多くの「できる人」は、経験にもとづく自信を携えて、"べき論"を「できない人」に押しつけています。しかし自分の心に落ちていかない「与えられたシナリオ」は、「できない人」の抵抗の壁に弾き返されてしまいます。
『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』 〜第1章〜「できる人」が陥る三つの罠 P.38, 39