対米従属を続け、敗戦を否認しつづけている状況

敗戦の帰結としての政治・経済・軍事的な意味での直接的な対米従属構造が永続化される一方で、敗戦そのものを認識において巧みに隠蔽する(=それを否認する)という日本人の大部分の歴史認識・歴史的意義の構造が変化していない、という意味で敗戦は二重化された構造をなしつつ継続している。無論、このニ側面は相互を補完する関係にある。敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を私は、「永続敗戦」と呼ぶ。
『永続敗戦論――戦後日本の核心』 P47、48