バイアウト・ファンドとアクティビスト

バイアウト・ファンドは、未公開企業に出資して過半数の株式を取得し、経営権を握る。その上で、不採算部門の切り離しや本業の建て直しによって抜本的な収益力を向上させ、経営戦略の変更に踏み込む。そうやって企業価値を高め、株式上場や譲渡でキャピタルゲインを得るという手法だ。
村上のようなアクティビストは、経営権を握らない範囲で大株主となって、経営陣に経営改善を要求するのが本来の姿だ。冨山の目には、村上による阪神電鉄買収劇が、そういうアクティビストの行動原理を逸脱しているように映っていた。
経営権を握ってしまった瞬間、ファンドは経営に対して責任を持つことが求められる。単に経営陣に文句をつけていればいいのではなく、「では、あなたはどうするのか」との問いに、経営陣と同じ目線で答えなければならなくなるのだ。・・・<中略>
アクティビストには、だらしない経営者の行動にお灸を据えたり、市場の歪みを正したりする機能がある。
『企業復活』 〜第1章 世界初の試み 「日の丸ファンド」の誕生 P.85〜91〜