「銀行の常識」と「再生機構の常識」

銀行は、企業のバランスシート(帳簿)をしっかり管理することを最優先に考える。「きちんと借金を返済できる会社にすること」が、銀行の市場命題だからだ。こうした論理に基づいて、数名の行員を役員として企業に送り込み、経理をがっちり握るのが定石だった。
しかし、再生機構の発想は、まったく違う。企業を、「帳簿管理ができるだけでなく、収益をしっかり叩き出せる体制」に転換することを目指していた。そのためには、経営ができる人材を派遣して、本質的な意味での経営の建て直しをしなければならない。ここでも、「銀行の常識」と「再生機構の常識」が、正面から激突した。

『企業復活』 〜第2章 あの「死に体企業」を復活させろ! P.107〜