経済合理性に基づく外部規律を働かせる

名門企業の没落でもったいないのは、そこに本来、優秀な人材が多数いるにもかかわらず、それらの人材を生かし切れていない点である。さらに、本来優秀だった人さえも長年、組織の論理に浸りすぎた弊害で、戦うプロフェッショナルとしてまったく機能しなくなってしまうことである。
このタイプの企業に対する一般解は存在しない。ただ共通のカギは、経済合理性に基づく外部規律が経営プロセスや幹部人事に働く仕組みを、実質論として確立させることである。その一方で、企業内部のムラ社会DNAに由来する、根源的な競争力を絶対に壊さないことであろう。その中でも重要なのは、経営陣の選抜である。こういう企業には年代の幅を広げると必ず優秀な人材がいる。
『会社は頭から腐る』 〜第4章 産業再生の修羅場からの臨床報告 P.112〜