自分の志向性と会社の中の可能性をマッチングさせる

会社というのは融通無碍で、能動的に動くと、いろんなことが通る。それなのに、能動的・積極的に会社に働きかける人というのがどうしてこんなに少ないのだろう、といつも思います。・・・<中略>その会社には多様性と広がりがあって、やる気があって「違う部署で、こういうことをやりたい」と言うと、通る会社は多いと思うんですよ。与えられたものに対して、従順すぎます。
「どうして、そこに行きたいって言わないの、君」といつも言うのですが、そういう主張をすると、あんがい通るんですよ。日本の共同体というのは、一度中に入ってきた人にあたたかい。もちろん、言われた仕事を黙々とこなす人は、使いやすくて便利だから、組織もわざわざ動かさない。でも「自分は実はこういうことをやりたいんだ」ということを言う人は、能動的に中で移っていくことができることが多い。
僕と斉藤さんの年代で出世の早い人は大企業で事業部長とか執行役員とかになっていますければ、そういう人に共通する特徴というのは、自分の志向性と会社の中の可能性みたいなものをマッチングさせようと、自分から働きかけてうまくやってきた人だとおもうんですよ。一流企業だったら留学制度があったり、海外に出る可能性があったりして、そういうものは、まず希望を出すもの。ところが、若い人の話を聞いていると、自分から働きかける前に辞める。どうせ辞めようと思うくらいなら、働きかけて失うものなんて何もないのにね。
私塾のすすめ』 〜第3章 「ノー」と言われたくない日本人 P.126〜