自らの専門や自らの部下と組織全体や組織の目的との関係について、徹底的に考える

あるコンサルタントは、新しい客と仕事をするときに、最初の数日間を使って先方の組織や歴史や社員について聞くなかで、「ところで、あなたは何をされていますか」と尋ねることにしているという。殆どの者が、「経理部長です」「販売の責任者です」と答える。時には、「部下が八五〇人います」と答える。「他の経営管理者たちが正しい決定をくだせるよう情報を提供しています」「客が将来必要とする製品を考えています」「社長が行うことになる意思決定について考え、準備しています」などと応える者は、きわめて稀だという。・・・<中略>
貢献に焦点をあわせることによって、専門分野や限定されて技能や部門に対してではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向けるようになる。自らの専門や自らの部下と組織全体や組織の目的との関係について、徹底的に考えざるをえなくなる。・・・<中略>
「どのような貢献ができるか」を自問することは、自らの仕事の可能性を追求することでもある。そう考えるならば、多くの仕事において、優秀な成績とされているものの多くが、実は、その膨大な貢献の可能性からすれば、あまりにも小さなものであることがわかる。
『プロフェッショナルの条件』 〜貢献を重視する P.84、85〜