グローバル資本主義の問題の根幹は、グローバルレベルの制御主体が存在しないこと

グローバル資本主義の問題の根幹とは、今やモノもカネも国境を越えて自由に羽ばたいているのに、それを制御する主体が国家単位に分散しているということにあるのだ。・・・<中略>
岩井克人氏は言う。
「あのアダムスミスの『見えざる手』を曲がりなりにもはたらかせることができたのは、市場経済を『不純』にするさまざまな『外部』の存在が、その本来的名不安定性の発現を一定程度におさえてきたからなのである」
外部の存在とは中央銀行や強制力を持った政府のことである。中央銀行が通貨の管理をし、政府が所得再分配政策や環境規制をするといった、市場から見ると「不純」なことが国内経済ではそれなりに存在した。
しかし、グローバル資本主義の下では、そのような強制力を持った「外部」は存在しない。つまり、グローバル資本主義というモンスターには、今のところ天敵はいないのだ。
『資本主義はなぜ自壊したのか』 〜終章 今こそ「モンスター」に鎖を P.360、367〜