一番製品に長く接触する人に忠実な製品でなければならない

もう一つ研究所で大事なことは、自分が一番犠牲になるということだ。それは何かといえば、その商品をオートバイなり自転車なりに仮定して、それに一番長く接触するのは誰かということになると、買って下さったお客さんが一番そのオートバイなり自動車に長く接触する。だから、その人に、一番忠実であるべき品物を作るのがわれわれの責務である。
その次に、それを修理する、サービスする人が長い間接触する。販売する人の立場とサービスする人とは大体同じだから、この人たちのことを十分に考慮した品物でなければならない。三番目は作る人の立場にならなければならない。四番目が自分なのである。
ところが設計者というものは、割合自分は苦労せずに、サービスマンや作る人たちなど、他に苦労を押しつけてしまうから、商品が売れなくなるのじゃないか、そういう研究所であってはならない。
『俺の考え』 〜研究所は博士製造所ではない P.72、73〜