課題の遂行だけでなく相手にも意識を向け視点を変えることを支援する

「できる人」が何とかしてあげたいと思う「できない人」の課題を、両者はまったく違う視点で眺めていることがよくあるのです。こうすればいいのに、こんな考え方もできるのにと、引き出しの多い「できる人」はじれったくなります。
「できる人」にも答えがわからない場合がありますが、それでも「できない人」よりは自分が優位だと思っているので、何とか答えを見つけ出してやろうと勝手に悩むケースも多いようです。
しかし相手を意識するよりも課題の遂行を強く意識していると、相手の気づきを度外視して新しい行動を促したくなります。なにしろじれったくて、職務遂行の責任も感じているの、早くなんとかしたいのです。そんなときに出てくる決まり文句の一つが、「どうすれば、やる気にさせられるでしょうか」というやつです。
自分のやる気に着火するの得意な「できる人」は、「できない人」にもライターを持って行って火をつけようとします。モチベーションという注射を打とうとしている、といってもいいでしょう。
ところが、これは大きな間違いです。やるべきことを教えてあげることはできても、やる気を与えることはできません。やる気の有無は、大脳の脳幹から分泌されるドーパミンの出具合に影響され、すべて脳の働きによって決まります。・・・<中略>
だからこそ、いかに本人の視点を変える手助けをするかが鍵になるのです。じっくり話を聴いてあげることも厳しいメッセージを送ることも、あるいは前述した大川さんのような楽器演奏などの行動も、あらゆることの中に視点を変えられる可能性があります。
『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』 〜第5章〜「できる人を育てる人」の技術 P.218、219〜