焦土と化した帝都を「国家百年の大計」によっていかに「復興」させるか、知力を振り絞った

親任式を終えて麻布桜田町の自邸に戻った新平は、母屋の二階奥の和室に籠ると、焦土と化した帝都を「国家百年の大計」によっていかに「復興」させるか、知力を振り絞った。蠟燭の炎がゆらめく薄暗い部屋で、構想を書きつける巻き紙と筆を前に腕を組んだまま黙考する姿は、一己の鬼であった。
後藤新平 日本の羅針盤となった男』 〜第6章 帝都壊滅 P.293〜