2011-05-02から1日間の記事一覧

焦土と化した帝都を「国家百年の大計」によっていかに「復興」させるか、知力を振り絞った

親任式を終えて麻布桜田町の自邸に戻った新平は、母屋の二階奥の和室に籠ると、焦土と化した帝都を「国家百年の大計」によっていかに「復興」させるか、知力を振り絞った。蠟燭の炎がゆらめく薄暗い部屋で、構想を書きつける巻き紙と筆を前に腕を組んだまま…

軍部の惰性で回る大きな車輪の前に身を挺して歴史の流れを変えようとした

軍部の惰性で回る大きな車輪の前に身を挺して歴史の流れを変えようとした。危機を食らって生きる男の本領発揮である。 『後藤新平 日本の羅針盤となった男』 〜第4章 台湾統治 P.231,232〜

見込んだ人間がいれば借金をしてでも支援するという「人間道楽」

情け容赦なくリストラを断行する一方で、仕事ぶりを認めて残した官吏には特別手当を支給し、官舎を建てて住まわせた。思う存分力を発揮しろと叱咤する。総督府の要職には、「一本釣り」でかき集めた秀才たちを配置した。 新平には「人間道楽」といってもいい…

児玉源太郎の人間のケタ

疲れたからだを引きずって、新平は、検疫事業の終了を児玉へ報告しに行った。児玉は、よくやった、とひととり労をねぎらったあと、箱を取り出して言った。 「この箱はきみの月桂冠だ、持っていって、開いてみよ」 はて、なんだろうと新平が箱を開けてみると…

大きな金を動かし、高い効果を期す

のちに「大風呂敷」と陰口を叩かれる新平の予算感覚は、天与のものだった。私的な借財も含めて「大きな金を動かし、高い効果を期す」新平のコスト意識は、本人の派手好みの一面があったにしろ、突きつめれば「金は天下のまわりもの」ととらえるおおらかさと…

人間の群れが生き続けるために必要な「公共」の「経綸」という発光体を持つ後藤新平

近代化の命題に沿って「より多く、より速く、より効率的に人やモノ、資本、情報を流通させる」には都市を大改造し、幅広い道路、鉄道を通し、広場を設け、街を開く必要がある。そうすれば都市の価値はさらに高まり、国が栄える、と新平は発想し、台湾や満州…

後藤新平 日本の羅針盤となった男