中国人はタテマエとホンネを分ける為、テレビ報道のタテマエの部分だけをみると本質を見誤る

二〇〇五年、日本のメディアは、中国各地の反日デモ反日暴動)の映像を、繰り返し放送した。若者を中心とする群衆は、町中でみつけた日本軍をこわし、日本語の看板をかかげた店のガラス窓を叩き割り、つかのまの暴動に酔いしれた。その映像を見た日本の視聴者は、てっきり中国人は全員「反日」なのだ、と思い込んだ。
しかし実際のところは、あの反日でもは、文革の吊るしあげ大会以上に、複雑な要素をもっていた。反日を口実にしてデモを行い、国際問題にすることで中国共産党を困らせてやりたい、という隠れた動機で集まった若者も、実はかなり混じっていた。
文革の時代も、今日も、中国社会には「言論後の自由」はない。ホンネを気軽に打ち明けられる環境にはない。そのため、中国人が語るタテマエばかり聞いていても、中国人のホンネは、なかなか見えてこない。『貝と羊の中国人』 〜おわりに P.240、241〜