日本は神の命令ではなく、「きれい」「汚い」という美的感覚で行動を律する

その『日本文化史』の中でサンソムがくり返して書いているのは、日本人は倫理やモラル、あるいは心のありさまを表現するときにさえ、「きれい」とか「汚い」といった美学的な言葉遣いでもってそれを表現する、ということです。
すなわち、「十戒」という神の命令によって行動を律する西洋文明とは違って、日本では、「きれい」あるいは「汚い」という美学的感覚に基づいて、自らの行動を律している。これは、われわれの世界観を転倒するような道徳観だ、と驚嘆しているのです。
『日本人としてこれだけは知っておきたいこと 』 p.237