付加価値以外に効き目はない

CDを買う人が少なくなっているのは、音楽を無料でてにいれられるからではなく、単にお金をよそで使っているからなのだ。したがって若い音楽ファンが、他に買うものと比較して値段に見合わないものに限られた小遣いを費やすのでなくファイル共有に向かうのは、レコード会社にとって何ら驚くべきことではない。結論:消費者は自分が正しいとおもうことをしているのだから、いくら力づくで押さえ込んだり強引な訴訟をしても納得させることはできない。付加価値以外に効き目はないのだ。・・・<中略>
ビデオゲーム著作権侵害も同様にはびこっているが、それがゲーム産業に損害を与えたり、その存在を脅かしたりはしていない。同じことがパソコン用のソフトウェア市場(毎年、平均五七パーセントが違法コピー)やビデオ市場全般にも言える。著作権侵害ビデオゲーム、ビデオ、パソコン用ソフトウェアのビジネスに悪い影響を与えていない−それどころか、実は売り上げを後押ししてきた可能性もある−主な理由は、製作者や開発者が常に製品を徹底的に作り直していることにある。

『デジタル音楽の行方』 〜第5章 P.124〜125〜