低俗番組の経済学

「民放の番組は低俗だ」とか「視聴率至上主義だ」などと道徳的に非難するのは的外れである。民放の社員は学歴は高く、ああいう番組をつくりたくてつくっているわけではない。問題は、それ以外に選択肢がないことである。地上波テレビ局は、系列の新聞社とともに強力な政治力を使って新規参入を排除してきた。1970年代に現在のキー局と地方局の系列化が完成してから参入したのは、衛星放送のWOWOWと、MXテレビなどごくわずかの独立系UHF局だけだった。このように競争を制限してきた結果、日本の民放はメディアとしての成長が止まってしまったのである。
『ウェブは資本主義を超える』 〜マスメディアの終焉 P.73〜