2007-09-16から1日間の記事一覧

通産省型の産業政策とVC型の投資システム

製造業では需要の存在は確実であり、供給側の規模だけが問題だったのに対して、情報産業では供給側の設備の規模よりも需要や技術革新の不確実性が問題になるのである。こういう場合には、あらかじめ特定の目標を設定して大規模な投資を行うことよりも、多く…

アーキテクトの腕の見せどころ

インターネットでは、オープン・アーキテクチャによって多くのユーザーを味方につけることが不可欠であり、「知的財産権」による囲い込みは、多数派になる上では逆効果だ。他方、ビジネスである以上、すべてをオープンにするわけには行かないから、どこをオ…

行政中心の集権的国家システムの限界

JASRACは「ウィニーによる著作権侵害の被害は約100億円」という推定を発表したが、グーグル1社の時価総額だけで17兆円だ。日本は、昔のコンテンツを守る代償に、新しい企業による富の創出を阻害し、莫大な機会損失をこうむっているのである。 著作権の侵害は…

自由とは「〜を禁止しない」という消極的な概念

もちろん、2ちゃんねるのようなアナーキーに転落しないように最小限のルールを設定する必要はあるが、その場合も重要なのは自生的秩序を尊重し、目的を設定しないことだ。ハイエクが強調したように、自由とは「〜を禁止しない」という消極的な概念であって、…

著作者の富を守るために、他人の表現の自由を侵害する権利を認めてよいのか

私たちの社会が工業化の段階を過ぎて新しい段階に入ろうとしているとき、改めて考える必要があるのは、社会の究極の価値は何かということだろう。富は欠乏からの自由を得るための手段だったはずなのに、富の追求が目的になる資本主義社会は倒錯しているので…

低俗番組の経済学

「民放の番組は低俗だ」とか「視聴率至上主義だ」などと道徳的に非難するのは的外れである。民放の社員は学歴は高く、ああいう番組をつくりたくてつくっているわけではない。問題は、それ以外に選択肢がないことである。地上波テレビ局は、系列の新聞社とと…

特殊指定と草の根メディア

他の業界については「構造改革」や「競争原理」を求める新聞が、自分の業界のことになると、以上のように非論理的な議論をすべての新聞でヒステリックに繰り返し、それと違う意見は無視し、地方議会まで動員して「特殊指定堅持」の決議を出させるのは異様と…

大事なのは、訴訟ではなくビジネスによって問題を解決すること

新しい技術を訴訟で圧殺することは、長期的には既存の業界の利益にもならない。映画会社に訴訟を起こされ、1984年に辛くも層書したソニーのVTRは、その後、映画会社に莫大な利益をもたらした。いったん壊滅したようにみえたP2Pも今、効率的な配信システムと…

映像を配信するインターネット第3の波

ブラウザでテキストが表示できるようになったのをウェブの第1段階、P2Pで音楽が流されるようになったのを第2段階とすると、ウェブは今、映像が配信され始める第3段階の入り口にさしかかっている。第1の危機は、ウェブが爆発的に普及して既成事実になったこと…

コンテンツの権利処理という課題

情報処理がウェブ上で自動化され、効率が高まる一方で、権利処理はきわめて非効率的で、コンテンツ流通の最大のボトルネックになっている。この問題を解決した者が、次のマイクロソフトになるだろう。これは技術的にもビジネス的にもきわめて困難で、しかも…

ウェブは資本主義を超える