行政中心の集権的国家システムの限界

JASRACは「ウィニーによる著作権侵害の被害は約100億円」という推定を発表したが、グーグル1社の時価総額だけで17兆円だ。日本は、昔のコンテンツを守る代償に、新しい企業による富の創出を阻害し、莫大な機会損失をこうむっているのである。
著作権の侵害は目に見えるが、過剰規制の社会的コストを負うのはすべて消費者なので、被害はわかりにくく、文芸家協会のようなロビー団体もつかない。しかし、こうした行政中心の集権的国家システムが新しい分野への挑戦を阻み、日本経済の停滞をもたらしているのだ。「日本になぜグーグルが生まれないのか」と嘆く官僚は、自分たちがその原因をつくっていることに気づくべきである。
『ウェブは資本主義を超える』 〜著作権という既得権 P.113〜