通産省型の産業政策とVC型の投資システム

製造業では需要の存在は確実であり、供給側の規模だけが問題だったのに対して、情報産業では供給側の設備の規模よりも需要や技術革新の不確実性が問題になるのである。こういう場合には、あらかじめ特定の目標を設定して大規模な投資を行うことよりも、多くの「実験」に分散投資し、事後的に見直しして失敗したプロジェクトから撤退するオプション(選択肢)を広げることが重要になる。
その意味で、通産省型の産業政策の対極にあるのが、シリコンバレーベンチャー・キャピタルである。彼らは多くのベンチャー企業に薄く広く投資し、ラウンドごとに成果を見直して投資を継続するかどうかを決める
『ウェブは資本主義を超える』 〜IT産業復活の道 P.205〜