大事なのは人間への洞察

再生を担う人間には、三つの能力が必要になる。事業を知っていること、経営を知っていること、そして人間に対する洞察力である。それは経営者はもちろん、再生企業を買収して統治する側も同じである。私の場合は、事業面についてはコンサルタントとして鍛えられた。繊維しかし、化粧品しかし、コンサルティング時代に、それなりの知識を得ていた。
マネジメントと人間に対する洞察については、これは経験と好奇心のなせる業といわざるを得ない。再生が必要になるような会社では、驚くような反応、発言、行動が多々あった。しかし、ただ嘆いているだけでは、それでおしまいである。どうしてそんな行動をとるのか、私は好奇心を持って見つめた。そしてそれを再生へのプロデュースに反映させていく努力をした。
『会社は頭から腐る』 〜第4章 ガバナンス構造を徹底的に見直せ P.133〜