自分が心底納得し、自分なりの全体像を掴まないとリスクを引き受けない

国際情報屋には、猟犬型と野良猫型がいる。猟犬型の情報屋は、ヒエラルキーの中で与えられた場所を良く守り、上司の命令を忠実に遂行する。全体像がわからなくても危険な仕事に邁進する。野良猫型は、たとえ与えられた命令でも、自分が心底納得し、自分なりの全体像を掴まないと決してリスクを引き受けない。独立心が強く、癖がある。しかし、難しい情報源に食い込んだり、通常の分析家に描けないような構図を見て取るのも野良猫型の情報屋である。
私は諸外国の野良犬型情報屋から多くのことを学んだ。野良猫型だけだと組織は機能しなくなる。猟犬型だけでは、組織が硬直と緊縮を起こし、応用問題に対応できなくなる。結局、両方が必要なのである。全体として見れば、国際情報屋は、猟犬型九割五分、野良猫型五分くらいに分かれる。
国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』 〜第二章 田中眞紀子鈴木宗男の戦い P.86〜