人間はオンライン上では、分化したコミュニティを形成する

ブルニョウルフソンらは、このような「小さなコミュニティが乱立するバルカン化」は、フィルタリングがもたらす唯一可能な結果ではないと強調する。理論的には、「より幅広い知識や、さらには無作為の情報を欲しいままに求めることができるかもしれない」。しかし実際には、相違よりも類似を好むという人間の些細な偏向を根絶することは、不可能ではないにしても極めて難しい。それは人間性の一部であるからだ。果たして、ブルニョウルフソンとヴァン・アルスタインの論文によれば、彼らの数式モデルは、シェリングの見解をそっくりそのまま示唆している。すなわち、「他の要因が同じであるなら、多くの場合、融合を弱めるのに必要なのは、既存の相互作用よりも好ましい相互作用に力点を置くことである」。言い換えると、意見を同じくする見解や人々を好む−つまり、全てを受け入れるのではなく、"焦点を絞り込む"−というささやかな傾向がある以上、人間はオンライン上では、一層分化したコミュニティを形成する傾向を示すだろう。
クラウド化する世界』 〜第8章 大いなるバラ売り P.194、195〜