いずれ来るベクトルを探せば、物事はひとりでに進んでいく

未来を見通し、消費者が何を望んでいるかをだれよりも先に知る不思議な能力をそなえているように見える。ジョブズ本人はそんな評判にはとりあわない。「何が起こるかをぴたりとあてることはできない。しかし、われわれがどこへ向かっているのかを感じることはできる」と、ジョブズは『ローリングストーン』誌に語っている。「それにはけっこうな精度がある。あとは一歩下がって余計なことをしなければ、物事はひとりでに進んでいくものだ
ジョブズ「いずれ来るベクトル」を探すのだという。どんな新技術が市場に現れ、さらにどんな技術がその進撃を阻むのか?「それが何なのか、時とともにどう変わるのか、ある時点でどれを選べばよいのかを私たちは明らかにしようとする」とジョブズ。「あまりにも先のことまではわからないが、それなりに先を行く必要はある。実行には時間がかかるからだ。だから動いている列車をとめなければならないことになる」
スティーブ・ジョブズの流儀』 〜第6章 発明欲 イノベーションはどこからもたらされるのか P.230〜