自尊心を守るために、人は信念にしがみつき、その正当性を証する論拠を見いだす努力に終始する

われわれは、あまりたいした抵抗を感じないで自分の考え方を変える場合がよくある。ところが、人から誤りを指摘されると、腹を立てて、維持を張る。われわれは実にいいかげんな動機から、いろいろな信念を持つようになる。だが、その信念をだれかが変えさせようとすると、われわれは、がむしゃらに反対する。この場合、われわれが重視しているのは、明らかに、信念そのものではなく、危機にひんした自尊心なのである・・・・・・。・・・<中略>
われわれは、真実と思いなれてきたものを、いつまでも信じていたいのだ。その信念をゆるがすようなものがあらわれれば、憤慨する。そして、何とか口実を見つけ出してもとの信念にしがみつこうとする。結局、われわれのいわゆる論議は、たいていの場合、自分の信念に固執するための論拠を見いだす努力に終始することになる
『人を動かす』 〜誤りを指摘しない P.172〜