CSRに取り組めば法律や規制による厳しい管理を避けることができる

大企業が情熱を持ってCSRに取り組んだ理由は簡単だ。それは新聞で美談になるし、人々を安心させるからである。・・・<中略>企業は自ら責任を取りますとほんのなぐさみ程度に約束しておけば、より厳しい法律や規制の必要性から人々の注意をそらしたり、人々に初めからたいした問題ではなかったのだと思わせることもできる。行動規範を定め品行方正を公約した企業は、社会的責任の履行に向けて重要な第一歩を踏み出したように見えるが、消費者や投資家をひきつけて囲い込まねばというプレッシャー自体は少しも和らいでいない。超資本主義においては、彼らは社会的に責任を「果たせない」のだ。少なくとも意義のある大きな責任は―。
『暴走する資本主義』 〜第5章 民主主義とCSR P.199〜