現実の経済ではリスクが少なくなっているのに、資本市場ではリスクが増大している

市場の危機や記入の不安定性は増幅していく。この点に関して興味をそそる側面の一つが、こうした出来事には経済実態が反映されていないということである。事実、資本市場ではリスクが増大しているが、われわれが生きている現実の経済では、それと正反対の流れが起きている。ここ数十年間、世界はだんだんとリスクの少ない場所になってきている。少なくとも、経済についてはそういえる。アメリカでは、国内総生産GDP)の変動幅が着実に小さくなっている。GDPの前年比の変化率は五〇年前の半分だ。
『市場リスク 暴落は必然か』 〜第1章 P.11〜