Economy

金融当局が左右できる金利がゼロの際、政府支出を増やすことが不景気からの脱出に不可欠

本書の主要テーマの一つは、深刻な不景気に陥った経済で、金融当局が左右できる金利がゼロ近くにあるときには、政府支出は減らすのではなく増やすべきだ、ということだった。大恐慌を終わらせたのは、連邦支出の急増であり、今日のぼくたちも、それに類する…

リスク管理モデルは、容易に測定できるリスクには対応できるが目に見えないリスクは制御できない

どれほど大きなチームをリスク・マネジメントにあたらせようと、自分たちが認識・測定できる要因に対してリスク管理モデルを運用し、リスクレポートを作成することしか、われわれにはできない。実際、チームの規模が大きくなればなるほど、すでに認識されて…

市場の制度設計を改善しようとする努力が至上の機能不全を生じさせている

金融市場では過去三〇年間に膨大な量の金融工学が生み出されているのに、市場が機能不全に陥る頻度が増え、深刻度は増している。 こうした機能不全は、市場の制度設計を改善しようとわれわれが努力しているにもかかわらず生じているのではない。そうしたわれ…

現実の経済ではリスクが少なくなっているのに、資本市場ではリスクが増大している

市場の危機や記入の不安定性は増幅していく。この点に関して興味をそそる側面の一つが、こうした出来事には経済実態が反映されていないということである。事実、資本市場ではリスクが増大しているが、われわれが生きている現実の経済では、それと正反対の流…

女性の頭脳流出は日本企業からの流出

最近、面白い現象が現れている。女性の頭脳流出は日本企業からの流出であって、必ずしも日本社会からの流出ではないことだ。日本の会社を辞め、アメリカに留学し、現地の会社に雇われた女性が、その外資系企業の仕事で日本に戻ってくるケースがたくさんある…

適切な規制システムと磐石な金融機関の必要性

・・・、ゆっくりした段階的な金融市場を開放しない言い訳に利用されかねない。なぜなら資本流入に対する厳しい統制は、経済の基本構造の抜本的改革よりも政治的解決が容易だからである。歴史を振り返ると、資本市場の自由化はうまく機能する近代経済への近…