市場の制度設計を改善しようとする努力が至上の機能不全を生じさせている

金融市場では過去三〇年間に膨大な量の金融工学が生み出されているのに、市場が機能不全に陥る頻度が増え、深刻度は増している。
こうした機能不全は、市場の制度設計を改善しようとわれわれが努力しているにもかかわらず生じているのではない。そうしたわれわれの努力が、機能不全を生じさせているのである。金融市場の構造リスクは、金融市場の状況を改善しようとするわれわれの取り組みが直接的に生み出したものだ。
『市場リスク 暴落は必然か』 〜第1章 P.14〜