イノベーションというものは、儲けを期待する私的な投資家に支えられるものだという仮説

「プライベート・インベストメント・モデル」は、イノベーションというものは、儲けを期待する私的な投資家に支えられるものだという仮説に立脚している。イノベーションへの私的投資を後押しするために、社会は特許、著作権、営業秘密などに関する法令を通じて、イノベーターが生み出したイノベーションに一定の限定的な権利を与えたのである。
こうした諸権利は、イノベーション関連の投資から私的利益を得られるようイノベーターを支援することを目的としている。同時に、社会がイノベーターに与える一定の独占権と、それによってイノベーターが得る私的な利益は、イノベーターが創造した知識のすべてを、自由に、束縛なしで利用できる状態に比べると、社会に対する損失を生んでいるということになる。社会は、新しい知識創造に対するイノベーターの投資意欲を向上させるために、この社会的損失を選択しているのである。
民主化するイノベーションの時代』 〜第6章 P.119〜