最も信頼できない性格な持ち主であるが、最も信頼に足る外交家

そうだ、あの男こそもってこいの人物だ、いつでも、また何にでも使える男ならあの男にかぎる、それでは大急ぎであの男を奈落の底から引き上げろ!総裁政府でも統領政府でも帝政でも王政でも、いったん政府が苦境に立って、適当な仲介者、調停者、整理者がいるとなると、この赤旗を持った男、最も信頼できない性格の持主ではあるが、最も信頼するに足る外交家ジョゼフ・フーシェに、いつでも人々の目が向くのである。
『ジョゼフ・フーシェ』 〜第七章 心ならぬ間奏曲 P.265〜