後藤新平の発想は自分が死んで何世代かした後に実ればよいという射程距離の長さがあるが、政党政治の政治家は票集めのための現世利益しかみない

政治家がふつう考えているのは、自分のときにどう実現するかということですけれども、多分後藤の発想には、自分が死んで何世代かしたときに実ればいいというぐらいの射程距離の長さがあると思うんですね。悲しいことに、日本の近代を指導した薩長にも、それから後に出てきた政党政治の連中にもそういう発想はない。今どう実現するか、「現世利益」ですから。
ようするに票集めのためには現世利益でなければだめですから。だけど、後藤はそれをかんがえていなかった。現世利益ではなくて、その先でどうなるかということを考えている。だから、彼は政党政治では実現できないと思ったわけですよ。政党政治ではしょせん現世利益だから。
後藤新平の「仕事」』 〜後藤新平の「仕事」 P.32〜