ヨーロッパの階級社会への問題意識がアメリカの出発点

新共和国アメリカの人々は、共和国は自立した対等な市民で構成されるべきだと考え、ヨーロッパの階級社会の実害を避けようとした。しかしながら、19世紀の資本主義発展は、「階級のない社会」という理念を切り崩し、他人に雇われて働かなければ飢えてしまう人々を生み出していったこの理念と現実との両立を図ったのが成功倫理である。アメリカは「機会の国」であり、貧しさは努力をすれば逃れられる一時的な状態である。また、誰もが平等な社会とは誰も重要ではない社会でもあり、アメリカでは成功し富を獲得し、人から尊敬されることが特に重要となる。
アメリカの歴史―テーマで読む多文化社会の夢と現実』 〜第3章 雇われること、自立すること P.63〜