2012-12-08から1日間の記事一覧

落とした人が気づかないような物を拾い集め、それがこの世に存在した印を残すために小説を書く

作家という役割の人間は最後尾を歩いている。先を歩いている人たちが、人知れずおとしていったもの、こぼれ落ちたもの、そんなものを拾い集めて、落とした本人さえ、そんなものを自分が持っていたと気づいていないような落とし物を拾い集めて、でもそれが確…

既にある物語をキャッチするのが作家の役割

ストーリーは自然に発生してくるもので、むしろ自分が書こうとしている、まだ書かれていない物語が、すでにストーリーを持っているわけです。ストーリーは作家が考えるものではなくて、実はすでにあって、それを逃さないようにキャッチするのが作家の役目で…

言葉にされない物語を見つけ、掘り起こし、それに言葉を与える

作家も現実のなかにすでにあるけれども、言葉にされないためにきづかれないでいる物語を見つけ出し、鉱石を掘り起こすようにスコップで一所懸命掘り出して、それに言葉を与えるのです。 自分が考えついたわけではなく、実はすでにそこにあったのだ、というよ…

物語の持っている力に導かれ、作家は一番後ろから追いかける

「こっちへいこう。こういうふうに世界を広げてゆこう」という、物語自身が持っている力に導かれないと小説は書けないと思います。一人の作家の頭のなかで考えることのできる程度はたかだか知れていますので、作家が先頭に立って登場人物たちをぐいぐい引っ…

物語の役割