アメリカ型経営の長所と短所

・・・<中略>、四半期ごとの収益への関心の高まりは百害あって一利なしとは言わないが、善悪の両面があったことは否めない。・・・<中略>、この問題をマーク・ウィンケルマンと話し合ったことがある。・・・<中略>「アメリカの経済システムの甚だしい欠点は短期的な視野にばかりとらわれていることだ」と私は指摘した。
ウィンケルマンは私の考えに同意しなかった。短期重視は企業が問題点を見直すよい機会だととらえていた。理想的な管理職なら、長期的展望さえ持っていれば最適な経営ができるだろう。しかし管理職も生身の人間なので、長期的展望を、問題に取り組まない言い逃れに利用しがちである。・・・<中略>確かに短期的な業績に責任を負う必要がなければ厳しい決定を下さず、長期的な展望をその言い訳に使いがちである。「将来に投資している」というのがその決まり文句だ。
しかし、次第に短期的な動向ばかりが重視されるようになり、バランスが崩れ始めた。確かに短期の業績重視は企業の管理職が問題点を見直すよい機会になったが、長期的な展望があまりにないがしろにされるようになった。・・・<中略>しかし企業が短期的な業績を上げるように強いられる状況が続けば、企業は長期的にみて利益を上げることができず、結局はアメリカ経済全体も伸び悩むことになるかもしれない。
『ルービン回顧録』 〜第十二章 P.439〜441〜