新しい仕事を創りあげ、先駆者の栄誉をになうことは命懸け

吉田は開局にあたり、社員をホールに集めて、喜びを胸に、緩やかに、しかし厳しいまなざしを向けて語った。
「これからはじまる民間放送の仕事は、ちょっとやそっとのことではない、大事業である。命懸けの仕事である。諸君のうち半数は死ぬであろう。しかし生命を賭けても価値のある仕事である。新しい仕事を創りあげることは、まことにむずかしい。むずかしいからこそ、意味があるのだ。幸いにして生き残った諸君は、先駆者としての栄誉をになうであろう。そして、パイオニアになることこそ、男子として最も本懐ではなかろうか。諸君、ねがわくば、生き残って民間放送の先駆者となりたまえ」
『「われ広告の鬼とならん』 〜第四章 群立と「鬼十則」 P.246〜