神道と仏教が日本に道徳力を保存した

日本の国民性のうちに、利己的な個人主義が比較的少ないことは、この国の救いであり、それがまた、国民をして優勢国に対しての自国の独立をよく保つことを得せしめたのである。このことに対して、日本は、自国の道徳力を創造し保存した、二つの大きな宗教に感謝してよかろう。そのひとつは、自分の一家のこと、もしくは自分のことを考える前に、まず天皇と国家のことを思うことを国民に教えこんだ、かの神道である。それともうひとつは悲しみに打ち勝ち、苦しみを忍び、執着するものを滅却し、憎悪するものの暴虐を、永遠の法則として甘受するように国民を鍛えあげた、かの仏教である
『日本人としてこれだけは知っておきたいこと』 〜第四章 日本文明とはなにか P.236〜