知的であることの最低条件は自己懐疑ができるかどうか

仮説と実験データの間に齟齬が生じたとき、仮説は正しいのに、実験が正しくないから、思い通りのデータが出ないと考えるか、あるいは、そもそも自分の仮説が正しくないから、それに沿ったデータが出ないと考えるかは、まさに研究者の膂力が問われる局面である。実験がうまくいかない、という見かけ上の状況はいずれも同じだからである。ここでも知的であることの最低条件は自己懐疑ができるかどうかということになる。
生物と無生物のあいだ』 〜第4章 シャルガフのパズル P.67〜