書くという行為は、目の前にある世界を、見知らぬ空間へと届かせ、言葉を共有してもらうこと

書くという行為は自慰行為ではありません。書くという行為は、私たちの目の前にある世界、私たちを取り巻く世界、今、ここにある世界の外へ外へと、私たちの言葉を届かせることです。それは、見知らぬ未来、見知らぬ空間へと、私たちの言葉を届かせ、そうすることによって、遭ったこともなければ、遭うこともないであろう、私たちの本当の読者、すなわち、私たちの塊の同胞に、私たちの言葉を共有してもらうようにすることです。
日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』 〜二章 P.84〜