文章に心を配れる人が、書き出しの文章に心を配らないことはありえない

最初のページを読めばよい。最初の部分で次に読ませようとする力が文章になければ、それ以後、文章にそんな力が生まれることはない。文章に心を配れる人が、書き出しの文章に心を配らないことはありえない。言葉ひとつひとつの選択、配置、意味を考え抜いて書く。文章が持つ力は、小説全体すみずみの文章にまで行き渡るものだから、一部分を読むだけで判断できるのである。
『ニッポンの書評』 〜第3講 書評の「読み物」としての面白さ P.29〜