人を動かす秘訣は、みずから動きたくなる気持ちにさせること

人を動かす秘訣は、この世に、ただ一つしかない。この事実に気づいている人は、 はなはだ少ないように思われる。しかし、人を動かす秘訣は、間違いなく、一つしかないのである。すなわち、みずから動きたくなる気持を起こさせること――これが秘訣だ。
『人を動かす』 〜重要感を持たせる P.33〜

他人の長所を伸ばすには、励まし、心から賛成し、惜しみない賛辞を与える

わたしには、人の熱意をよぶおこす能力がある。これが、わたしにとっては何ものにも変えがたい宝だと思う。他人の長所を伸ばすには、ほめることと、励ますことが何よりの方法だ。上役から叱られることほど、向上心を害するものはない。わたしは決して人を非難しない。人を働かせるには奨励が必要だと信じている。だから、人をほめることは大好きだが、けなすことは大きらいだ。気に入ったことがあれば、心から賛成し、惜しみなく賛辞を与える。
『人を動かす』 〜重要感を持たせる P.42〜

自分のことを考えるのをやめ、他人の長所を考える時間を作る

人間は、何か問題があってそれに心を奪われているとき以外は、たいてい、自分のことばかり考えて暮らしている。そこで、しばらく自分のことを考えるのをやめ、他人の長所を考えてみることにしてはどうだろう。他人の長所がわかれば、見えすいた安っぽいお世辞などは使わなくてもすむようになるはずだ。
『人を動かす』 〜重要感を持たせる P.47〜

われわれは、自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる

「われわれは、自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる」
他人に示す関心は、人間関係のほかの原則と同様に、かならず心そこからのものでなければならない。関心を示す人の利益になるだけでなく、関心を示された相手にも利益をうまねばならない。一方通行ではなく、双方の利益にならなくてはいけない。
『人を動かす』 〜重要感を持たせる P.88、89〜

人は、幸福になろうとする決心の強さに応じて幸福になれるものだ

「およそ、人は、幸福になろうとする決心の強さに応じて幸福になれるものだ」―これは、リンカーンのいったことだが、けだし名言である。
『人を動かす』 〜笑顔を忘れない P.98〜

良い習慣は、わずかな犠牲を積み重ねることによってつくられる

エマーソンの言によると、「良い習慣は、わずかな犠牲を積み重ねることによってつくられる」ものなのである。
『人を動かす』 〜名前を覚える P.114〜

相手に興味を持ち、相手の得意なこと、喜んで応える質問をまずする

話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。興味を持たせるためには、まず、こちらが興味をもたねばならない。
相手が喜んで応えるような質問をすることだ。相手自身のことや、得意にしていることを話させるように仕むけるのだ。
『人を動かす』 〜聞き手にまわる P.128、129〜

自尊心を傷つけられた人は考えを変えない、何故なら傷つけられたのは論理ではなく、感情だから

そもそも、相手のまちがいを、なんのために指摘するのだ―相手の同意を得るために?どんでもない!相手は、自分の知能、判断、誇り、自尊心に平手打ちをくらわされているのだ。当然、打ちかえしてくる。考えを変えようなどと思うわけがない。どれだけプラトンやカントの論理を説いて聞かせても相手の意見は変わらない―傷つけられたのは、論理ではなく、感情なのだから。
『人を動かす』 〜誤りを指摘しない P.167、168〜

自尊心を守るために、人は信念にしがみつき、その正当性を証する論拠を見いだす努力に終始する

われわれは、あまりたいした抵抗を感じないで自分の考え方を変える場合がよくある。ところが、人から誤りを指摘されると、腹を立てて、維持を張る。われわれは実にいいかげんな動機から、いろいろな信念を持つようになる。だが、その信念をだれかが変えさせようとすると、われわれは、がむしゃらに反対する。この場合、われわれが重視しているのは、明らかに、信念そのものではなく、危機にひんした自尊心なのである・・・・・・。・・・<中略>
われわれは、真実と思いなれてきたものを、いつまでも信じていたいのだ。その信念をゆるがすようなものがあらわれれば、憤慨する。そして、何とか口実を見つけ出してもとの信念にしがみつこうとする。結局、われわれのいわゆる論議は、たいていの場合、自分の信念に固執するための論拠を見いだす努力に終始することになる
『人を動かす』 〜誤りを指摘しない P.172〜

人と話をするとき、意見の異なる問題をはじめに取りあげてはならない

人と話をするとき、意見の異なる問題をはじめに取りあげてはならない。まず、意見が一致している問題からはじめ、それを絶えず強調しながら話を進める。互いに同一の目的に向かって努力しているのだということを、相手に理解させるようにし、違いはただその方法だけだと強調するのである。
『人を動かす』 〜"イエス"と答えられる問題を選ぶ P.205〜

自分の意見を押しつけるのではなく、相手に思いつかせれば、相手ははるかにそれを大切にする

人から押しつけられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうを、われわれは、はるかにたいせつにするものである。すると、人に自分の意見を押しつけようとするのは、そもそもまちがいだといえる。暗示を与えて、結論は相手にださせるほうが、よほど利口だ。
『人を動かす』 〜思いつかせる P.220〜

他人にものを頼もうとする時には、「どうすれば、相手はそれをやりたくなるだろうか」と考える

他人にものを頼もうとするときには、まず目を閉じて、相手の立場から物ごとをよく考えてみようではないか。「どうすれば、相手はそれをやりたくなるだろうか」と考えてみるのだ。この方法は面倒に違いない。だが、これによって味方がふえ、よりよい結果がたやすく得られる。
『人を動かす』 〜人の身になる P.234〜

まず相手をほめておくのは、歯科医がまず局部麻酔をするのによく似ている

このように、まず相手をほめておくのは、歯科医がまず局部麻酔をするのによく似ている。もちろん、あとでガリガリやられるが、麻酔はその痛みを消してくれる。
『人を動かす』 〜まずほめる P.274〜