米国新インターネット時代史

第1期(94〜95年):インターネットの巨大な可能性だけが感じられた時代。まず飛び出したのはネットスケープに代表されるベンチャー企業群であった。95年8月のネットスケープ株式公開が象徴的である。

第2期(96〜97年):ベンチャー企業群の勢いの強さとスピード感に、マイクロソフトをはじめとするハイテク大企業が強い危機感を持ち、なりふり構わずベンチャーとの競争に邁進していった時代(例、ハイテク大企業によるベンチャー買収戦略の常識化)。ただ、まだまだ可能性だけが先行しているなぁという「健全な不安感」を誰もが持ち合わせていた。

第3期(98〜99年):ネット上に実需が生まれ(例、eクリスマス)、いわゆる「ドットコム企業」群が大量に登場するとともに、存在を脅かされた一般大企業に真の危機感が生まれ、米国社会全体がIT化へと突き進んでいった時代。「健全な不安」が払拭された代わりに生まれたユーフォリア(根拠なき陶酔感)が異常な株高をもたらす原因になった。

第4期(2000〜2001年):ネットバブルが崩壊し、それが米国経済失速につながっていく時代。まさに私たちは今、この時代を生きている。
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ビジョナリーになるために重要なこと

米国がどこよりも先にフロンティア開拓の経験を積んでくれたおかげで、私たちはその試行錯誤から様々なことを学ぶことができる。このアドバンテージをどう活かせるかが日本にとって今とても重要だと思う。この間に米国で何が起きたのか、何が本質的で、何が証明され、何が証明されなかったのかを、きちんと腑分けして理解することが何よりも大切だ
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シリコンバレー人の気質

「マクロ的に見てこれからかなりまずいことが起こる」かどうかはまぁどうでもいいと思っているけれど、「自分だけは成功しよう」「自分だけは生き残ろう」というエネルギーだけは充満しているのである。
・・・<中略>・・・
ただ、何はともあれ、IT革命というのはフロンティアであるわけで、このフロンティアを切り拓くには、マクロには少しバカになってでも、ミクロに没頭することが大切なのだなぁ、とつくづく感じる昨今である。
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ネットバブルの発生要因と崩壊後の動向

米国ネットバブルの発生要因は、次の3点に集約される。
(1) 1995年8月のネットスケープ・コミュニケーションズ公開以来、可能性が巨大でありさえすれば、利益が出なくても、ときには売り上げが上がっていなくても、株式を公開できるという楽観的ルールができ、それが肥大化していったこと。
(2)「誰よりも先にブランドを確立し、顧客を獲得し、ある分野のリーダーになることが勝利の道」との盲信から、異常なまでの早い者勝ち競争が起き、明確なビジネスモデルもないまま、従来型メディアへの広告宣伝費、Webサイト構築や技術開発に巨費を投ずる状況に、各社が駆り立てられていったこと。
(3) しかも、その競争の中で、何から何まで「無料化」するという刹那的な過当競争が起きて、「消費者以外はすべて疲弊する」という状況が起こってしまったこと。
・・・<中略>・・・。
米国ではもう既に、安易な株式公開はできなくなっているし(1)、未公開段階で「利益を生み出しそうもない」ビジネスモデルは徹底的に排除され、リスクはできるだけ未公開段階に封じ込むという基本がはっきりし(2)、無料化競争を主張する企業には誰も投資しなくなった(3)。
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ネット産業創出に必要なこと

ネット産業の創出には、「既存産業の破壊」という攻撃性と「新産業の構築」という創造性が、セットで組み込まれていなければならない。Napsterは、破壊的側面における秀逸さで一躍脚光を浴びたが、持続的収益を上げ得るビジネスモデルの構築という努力は、まだ緒についたばかりであった。
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ネットビジネスの特性

つまり、音楽であれ、映画であれ、ビジネス情報であれ、「コピーにかかるコストが限りなくゼロに近い」という本質的特性を有する「デジタル情報」に対して、「1個いくら」と値段を付けるビジネスは「ネット時代にはもう成立不可能」という証明がなされてしまったのかもしれない。
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特許

特許というのは規制の一つなのだ。『誰がどのアイデアをどれくらい長く使う事ができるか』を政府が定める規制だ。しかも、慢性的過労状態にある特許審査官が、あまり時間もかけずに、どの発明が『新規で、当たり前の概念でなく、役に立つ』ものかを決定するのである。
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ネットバブルの発生ロジック

投資銀行や証券会社といった金融機関は、公開させたネット企業の株価を維持するために、可能性と株価(高収益を生み出した時点での将来価値)を結び付ける方程式を考案すべく躍起になった。結果として「将来価値を先取りして先に高株価がつく」という異例の常識が根付き、98年以降「売り上げ」の時代に突入したことも追い風となって、ネット株は上昇の一途をたどり現在に至っている。これがネットバブル発生の物語である。
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Nerd

ナード(nerd):シリコンバレーを理解する上で最も重要なキーワード。最先端ソフトウエア技術に精通し、ソフトウエア開発を「人生のファーストプライオリティ(最優先事項)」と無意識のうちに位置づけて行動している人たち。必ずしも若者だけとは限らない。日本語にはこの概念がない。「オタ
ク」という手垢のついた日本語に訳してイメージすると誤解のみを生むと思う
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1998年に発生したネット企業の収益モデル

 ポータル。98年初頭にこんな言葉が生まれ、たくさんの人を集めるサイトを作れば広告収入が入ってくることが分かった(例:ヤフー)。

 B-to-C(Business to Consumer)のEコマース。98年末のクリスマス商戦では、普通の人が普通の品物をネット上でたくさん買った(例:アマゾン)。

オークション。これまではほんの一部の蒐集家のための売買システムが、普通の人たちが私蔵するモノ同士の取引きに応用されると、巨大な新市場ができそうなことが分かった(例:eBay)。

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EXIT Strategy

「EXIT Strategy」という言葉は耳慣れないかもしれないが、創業したベンチャーがある程度成功を収めた(3年から5年)と仮定した時に、創業のリスクをとった人たち(起業家、経営者、投資家)が、そこまでの成功に対するリターンを得るための戦略を「EXIT Strategy」という。

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米国新インターネット時代史

 インターネット時代は、94年11月、ネットスケープブラウザーを無料配布したところから始まった。それから約4年半、ネットスケープマイクロソフトとの「無料対無料」のシェア競争の揚げ句、「金儲け」の対象としてのブラウザー市場は焼き払われてしまったが、「インターネットへの窓」としてブラウザーは完全に定着した。
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インターネット時代の環境変化

しかし、マイクロソフトは今、それ以上の危機に直面している。マイクロソフト存亡の危機と言っていい。

 それは、「情報通信インフラにおける汎用性の高い大規模ソフトのほぼすべてが、営利企業内で開発されなくなり、無償に近い形で世界中のユーザーに配布されることの脅威」である。
・・・<中略>・・・。
 ビル・ゲイツが「第一の危機」を乗り切った経営手法は、対Linux、対オープンソースでは通用しない。究極の非営利ネットワーク組織の挑戦こそが、マイクロソフト「第二の危機」の正体だからなのである。

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時代を見通すために

私はここシリコンバレーで、日々起こり続けるミクロの出来事を、「時代の大きな流れ」の中でどう位置づけたらよいのか、そのことばかりをいつも考え続けている。
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インターネット時代の環境変化

今年は、この流れが大きく変わった年だ。「パソコン上のアプリケーションソフトの可能性」よりも「インターネット上でのコンテンツやサービスの可能性」の方が大切だから、「パソコンはインターネットアクセスをはじめとする必要最小限の機能を持っていれば拡張性があまりなくてもよい」と考える顧客層が激増し、売れ筋パソコンの価格帯がぐっと下がってしまったのだ。
http://www.mochioumeda.com/archive/npc/981102.html